環境大臣賞/環境フォト大賞
(王子製紙賞[森の仲間たち]から)
- 受賞者のコメント
- 2010年10月初旬のお昼頃。北海道・サロベツ原野がある自然公園に暮らすエゾシマリスの姿です。この年は天候に恵まれ、木々の紅葉も例年にない美しさとなりました。ただ、森を守るリスの冬眠も以前と比べると遅くなり、温暖化の影響かと考えさせられます。
- 審査員評価
- 実りの秋を迎え、背後の紅葉と手前の落ち葉がつくりだした豊かな色合いの森。そのなかに、冬眠用の木の実を集めているのでしょうか、エゾシマリスの姿が見えます。隣には赤いキノコが2本あって、リスがキノコに「もうすぐ冬だよ」「これから寒くなるね」といった言葉をかけているようにも見える。「森の仲間たち」というテーマを情感をもって描き出した、夢のある作品です。
野生の生物を撮影するには、ある情景が生まれることを想像しながら、それをひたすら待たなければならない。いわば忍耐の作業でもあるわけです。作者の前田さんはその結果、詩情にあふれた心温まる作品を完成させました。撮影者の自然環境への思いと、心の優しさまでが伝わってくるような一枚でした。