Q:広衿、バチ衿、棒衿という言葉を耳にします。
それぞれ、どう違うのでしょう?
答える人・大久保信子さん
今の着物は、広衿仕立てのものがほとんどです。
広衿は、その名のとおり、衿の2倍の衿幅に仕立てたもので、実際に着るときに半分に折って着付けます。
衿の幅が調節でき、ふっくらとした美しい胸元になります。
一方、「バチ衿」と呼ばれるのは、半分に折った状態で縫いとめた衿のこと。
衿幅が、背中心で5.5cm、衿先で7.5cmと先になるにつれ少しづつ広がるように仕立ててあり、三味線のバチの形に似ていることからそう呼ばれます。
着付けも簡単で、厚みがないため、涼しく感じます。
着物は広衿に、気軽なゆかたはバチ衿に仕立てるのが、今では一般的のようです。
ただ、長襦袢を着てもおかしくないような高級感のあるゆかたは、広衿に仕立ててもいいのではないでしょうか。
着崩れしにくく、上質な、大人っぽい着こなしができると思います。
棒衿は、バチ衿と同じように、初めから衿幅を折って仕立てたものです。
ただし棒衿は、背中心から衿先までの幅が全て同じ。
胸に凹凸の少ない男もののゆかたや着物、子どものゆかたなどによくある仕立てです。