Q: 紫陽花(あじさい)柄の絽(ろ)の着物を持っています。紫陽花といえば、梅雨のころ、6月の花のイメージ。
絽は7~8月の盛夏の生地、といったイメージがあります。さてこの着物、いったい、いつ着ればいいのですか?
答える人・森 荷葉さん
紫陽花そのものは夏の花です。
ガクアジサイなどは盛夏でも咲いていますので、真夏、8月いっぱいまで着ていても、まったく問題ありません。
実は、生地が絽などの夏物なのに、桜が描かれている着物や帯などが出回っていることも多いものです。
その場合は、素材を重視しましょう。絽は夏の素材なので、柄がどんなに春のものでも、夏に着用すべきです。
答える人・田中敦子さん
その着物は、アンティークのものではないでしょうか。
戦前までは、着物の柄に関して、いまほど季節の“先取り”をうるさく言わなかったようです。
絽の生地に紫陽花や杜若(かきつばた)などを描いたものが見受けられました。
いまでも、ゆかたなどに紫陽花柄があるのも、その名残なのかもしれませんね。
紫陽花にそぼ降る雨や、杜若の咲く水辺など、清涼感が夏のモチーフになり得たのかもしれません。
アンティークものであれ、現代ものであれ、絽の着物は夏に着てほしいと思います。
お持ちの着物の紫陽花柄に雨を感じられなければ、たとえば、帯や小物に流水柄などがあしらわれたものをコーディネートして、全身で涼やかな物語を演出してみては、どうでしょうか。