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人生には、いくつかの節目がある。
生まれて初めて産土神に参拝する「初宮参り」、
子供の成長を祝う「七五三」、二十歳には「二十歳のつどい」。
そして時を経て、60歳の「還暦」以降の年齢の節目を祝う「賀寿」。
書き連ねてみると、二十歳のつどいから還暦までの間がぽっかりと空いていることに気がつく。
大人になり、心身ともに円熟を迎えるこのころに節目の年がないのはなぜだろう。
それは、誰とも重なることのない、その人にしかない人生の物語があるからに違いない。
私の人生は私のもの。自分の節目は自分で決めればいい。
美しい着物に身を包み、凛と立つ女性たち。彼女たちもまた、「私」の人生の節目を迎えている。
フードディレクターのさわのめぐみさん、歌人の伊藤紺さん、イラストレーターの岡田知子さんの3名だ。
着物と節目は、いつだって密接に結びついている。着物には、晴れやかな気分を包み込む力があるからだろうか。
「やまと可憐」の着物も、新たな節目を受け入れる包容力と、すっと背中を押してくれるしなやかさを併せ持っている。2017年のリリース以来、揺らぐことなく「誠実」なものづくりを続けてきた。染めや織りの職人に誠実に、お客様に誠実に。正絹よりも求めやすい素材ながら肌触りの良い上質な生地感、濁りのない清らかで深みのある色合いから、ブランドの思いが伝わる。
料理人として人生を歩んできたさわのさんは「レストランでの修業時代も独立してからも、一人で闘ってきたような人生でした」と話す。10年目にして人を雇うことに挑戦し、頼る、任せるということを学んだ。「伴走者がいれば、視点が変わって、走れる距離が延びる。やわらかいピンクの色無地を着ることで、重い鎧をようやく外せた気がします」
伊藤さんは、自ら選んだ紺色の小紋に、「人生が楽しいと思えるようになった今、着物を着ることができてうれしい」と晴れやかな表情を浮かべる。大人になるタイミングは皆、同じじゃなくていい。二十歳のときから10年が過ぎ、伊藤さんは「大人」を実感している。「先週、大阪の国立民族学博物館で世界の民族衣裳を見ました。その中で見た着物のエキゾチックな魅力に興奮しました。着物を着ることは私にとっては異文化体験のようなもので、でも、しっくりなじむのが不思議です」
着物歴30年以上の岡田さんは、ほぼ紬一筋の着物人生だったが、「一度も手を出さなかった飛び柄小紋を着てみると、気持ちが引き締まってすがすがしいですね」。少し年上になったときの自分を想像して手に入れた袋帯には、輪島塗の指輪を帯留め代わりに合わせた。「富山の生まれ、海の向こうに能登半島を眺めて育ちました。少しでも応援したいという気持ちもあって」。やわらかなジャンプアップで過去の自分から脱皮できた、と笑顔で語った。
人生の節目は、突如としてやって来ることもあれば、気がつかぬうちにそのときを迎えることもある。高らかに、ではなくてもいい。1枚の着物に袖を通し、節目の宣言をすることで、何でもないその日が、自分だけの大切な1日になる。大切につくられた「やまと可憐」の着物なら、そんな節目に寄り添い、次へのステップの良き相棒になってくれる。
【第2回】これからの民藝 洗えるきもの やまと可憐 2を読む
「やまと可憐」のものづくりの裏側に迫るムービーを特設ページで公開中。 全国の「きものやまと」では、『七緒』掲載記念として、
「やまと可憐」のラインナップを増やして皆さまのお越しをお待ちしております。
また、2024年12月7日(土)からは、コーディネートの幅が広がる
「冬のご褒美アクセサリーフェア」も同時開催中です。
「きものやまと」では、きっかけや覚悟、はじめの一歩や挑戦と、 どんな場面にも寄り添う着物との出会いをお手伝いさせていただきます。
「きものやまと」お客様サポートセンター
☎0120-18-8880
https://www.kimono-yamato.co.jp/
文=佐々木香織 撮影=馬場晶子 ヘアメイク=薬真寺 香
※価格は消費税を含む総額となります。