これからの民藝 ワンタッチ帯加工 1[PR|きものやまと×着つけ]

ご覧ください、ほれぼれ美しいお太鼓の後ろ姿。
実はこれ、ワン・ツー・スリーで結べるワンタッチ帯加工で手に入れたものなんです。
興味津々で「きものやまと」のショールームを訪れたのは、着物を愛するコピーライターの坂本和加さんと、
着物はじめに向けて屈伸運動中のイラストレーターのなかむらるみさん。はてさて、その顛末は?

着られないを“ゼロ”にする

頼まれたわけでもないのに、着物を着て仕事をすることがある。着物で仕事をすることに決めた、が正しいのだけれど説明が長くなるので相手に驚かれたら、「着物はスーツです」と伝えている。着物がスーツなら、帯はネクタイ、かもしれない。ないと格好が決まれない。結び方や締め方で、着る人の好みも分かる……。だけど、ネクタイと違って帯はちょっとくせ者だ。名古屋帯に袋帯、長さもまちまち、お太鼓の仕上がりで雰囲気が変わったりもする。着物の帯結びはやっぱりカンタンとは言えない。

「やまと」のワンタッチ帯は、初心者さん向けのつくり帯。そんな風に思っていた。けれど知れば知るほど逆だった。ヘビーユーザーはお茶の先生や料亭の女将、着物を日常的に着ているベテラン陣だという。そのくらい、バレない、ということなのか。どのくらいラク、なのか。早速私も仕立てることに。

ワンタッチ帯加工の構造に「へぇ」が止まらない坂本和加さん(左)と、なかむらるみさん(中)。「やまと」初の女性取締役である延山直子さん(右)は、根っからの着物好き。ワンタッチ帯の所有本数は、なんと40本以上!だそうです。

二度目の新品に出会うような、「わあぁ〜」というワクワク感

採寸は服の上から。大きなベルトのようなメジャーに、斜めの指掛けがついている。測りやすさのための器具への小さな工夫も、何度か改良されてきたものだという。

なんだってそうだけれど、こーでもないあーでもないのその先にあるものは洗練されている。だから採寸仕事も早い。私の背丈に美しいお太鼓サイズは縦31センチだそう。

仕立てが終わったワンタッチ帯は箱入りで手元に届く。二度目の新品に出会うようでワクワクする。パッとフタを開けて「わあぁ〜」という歓声はいつだって女性たちと共にある。「もうできてる!」だからあとは背負うだけである。帯を切らないから罪悪感もない。滝のような汗も、柄が思うように出ないイライラも、なぜか帯が緩んでしまう謎とも、もう向き合わなくて良いってうれしい……。さっそく締めたら、まるでベルトのようだった。解説を聞きながらゆっくり装着しても3分ほど。帯は切らずに幾層にも畳まれて加工されているから、つくり帯感はほぼゼロ。ほんとうに、とても美しい。

どこから見ても、ふっくら自然なシルエットが完成

ポイント1:帯山
ふんわり自然な曲線を描く、お太鼓の帯山。「やまと」のワンタッチ帯は切らないつくり帯で、実際に結ぶのに近い構造だから、ふっくら自然なシルエットに。帯枕がセットされていて、誰でも美しいお太鼓が手に入る。

ポイント2:下線
なかなか言うことを聞いてくれないお太鼓の下線も、「やまと」のワンタッチ帯ならぴたっと決まる。お太鼓の柄出しも、いつも満点の仕上がりだ。身長や体型に合わせてベストをご提案。

ポイント3:て先
注目すべきは、この斜めから見たシルエット。「て」の折り返しが自然で、「やまと」のスタッフでも「つくり帯だと見分けるのは無理ですね」。なかはしっかり縫い留められており、満員電車などで何かに引っ掛けても崩れない。

【第2回】これからの民藝 ワンタッチ帯加工 2 を読む


文=坂本和加 クリエイティブディレクター・ブランディングコピーライター。合同会社コトリ社代表。「カラダにピース」「行くぜ、東北」などブランドの顔となるコピーを手がける。自分キャッチコピーの講師として、企業や教育の現場でワークショップも開催。著書に『ひとこと化』(ダイヤモンド社)など。www.cotori-sha.com

イラスト=なかむらるみ 本誌連載「田中敦子の染め織りペディア」のイラストでもおなじみのイラストレーター。著書に『おじさん図鑑』(小学館)、『おじさん追跡日記』(文藝春秋)など。譲られた手持ちの着物に合う名古屋帯を、2024年初めにゲット。ワンタッチ帯加工でついに着物との急接近がかなうのか?

撮影=小禄慎一郎