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色や文様を描くひとつ手前、白生地と呼ばれる真っ白な着物の反物は、
日本海に面した海の京都、京丹後で生まれます。
着物研究家のシーラ・クリフさんとともに、京丹後を訪れた
さまざまな国から日本にやってきたひとびと。
1日目の本日は、白生地の生まれるところへ。
ちりめんのふるさとは、旅人たちの目にどう映ったのでしょう。
シーラ・クリフ
着物研究家。イギリス生まれ、ほぼ365日着物生活。リーズ大学大学院博士課程修了。十文字学園女子大学名誉教授。著書に、『Sheila Kimono Style』(東海大学研究所)、『Sheila Kimono Style Plus』(東海大学研究所)ほか。ファッションとしての着物の豊かさ、楽しさを抜群のスタイリングセンスの着こなしで伝えている。
旅のはじまりは創業1918年の老舗旅館・守源でいただくウェルカムランチ。
丹後の海を愛するサーファー親子が営む宿です。
ランチやバーは地元の人や観光客で賑わう人気スポット。
八丁浜をこよなく愛し、サーファーでもある駿平さんが、軽快な英語トークでおもてなしをしてくれました。
着物のはじまりは、1本の生糸から。
髪の毛より細い糸を操り、美しい反物を生み出す職人の技を見学します。
写真の整経(せいけい)はタテ糸をつくる工程。
無数の糸と敷き詰められた砂はまるで現代アートのよう。
糸の引っかかりや静電気を防ぐため、職人たちが考え出した工夫です。
丹後ちりめんの特徴は、美しい陰影を描くシボと柔らかい風合い。
ところが工場で織り上がった反物は別物のようにパリッと固い。
丹後ちりめん織元 たゆうの田茂井勇人さんがその秘密を教えてくれました。
昔ながらの機械や道具を手入れしながら、
300年前に生まれた丹後ちりめんを織り続けています。
ボイラーの湯気とクレーンが行き来する丹後織物工業組合中央加工場。
織元が織り上げた生機(きばた)に、精練と呼ばれる加工を行います。
ゴミや汚れを取り除き、セリシンという絹の成分を溶かし
規格通りの寸法に仕上げる。
日々、熟練の職人たちがひとつ一つの工程に向き合っています。
工場を歩いてまわるツアーでは、歴史や技術の話はもちろん
職人たちのパーソナルで面白いエピソードが聞けることも。
仕事と暮らしが近くにある、昔ながらの地場産業が
かえって新鮮に感じられます。
それにしても……
たった1枚の織物に、どれだけ緻密な仕事が込められているのでしょうか。
「今日は絹屋佐平治の慰霊祭があったんですよ」。
1日の締めくくりに訪れた禅定寺で、住職から『丹後ちりめんの祖』と仰がれる絹屋佐平治さん(のちの森田治郎兵衛)のお話を聞きました。
「苦しい生活を送る丹後の人たちを助けたいと
京都・西陣から苦心の末ちりめんの技術を持ち帰り広く技術を広めました」。
あざやかな『丹後ブルー』のハオリをまとったガイド・岸あやかさんの通訳に、みんな聞き入っていました。
その1
守源旅館
京都府京丹後市網野町網野656
TEL 0772-72-0155
●ちりめんの歴史が宿る建物に京丹後の新しい風が吹き抜ける宿。ランチやディナー、バーとしての利用も可能で、地元の人々にも人気のスポット。
https://morigen.com/
その2
丹後ちりめん織元 たゆう
京都府京丹後市網野町浅茂川112
TEL 0722-72-0307
●絹糸を整え、生機を織り上げる工房。敷地内には重森三玲作の庭園が。商品販売コーナーもあり、一般の見学も可(要事前予約)。
http://www.tayuh.jp/
その3
丹後織物工業組合中央加工場
京都府京丹後市大宮町河辺3188
TEL 0772-68-5211
●絹の産地として、精錬・整理などの加工を一手に引き受ける加工場。湯気のあがる工場から絹が生まれる様は圧巻。一般の見学も可(要事前予約)。
https://tanko.or.jp/association/
その4
禅定寺
京都府京丹後市峰山町小西472
TEL 0772-62-2064
受付時間/9:00~17:00
拝観/無料
●臨済宗天龍寺派 小西山 禅定寺。丹後ちりめん始祖祈願の寺として知られる。300年前に織られた始織のちりめんの拝観は、要事前予約。