新 手仕事ニッポン4

「切り子」のバングル (東京都・港区)

 かな佇(たたず)まいである。氷のような硬質さをじるかとえば、朝露のように、触れるとすぐにれてえてしまいそうな儚(はかな)さもじるバングルの片端手首内側くるりとはめる。一瞬ひんやりしてやがてまろやかな感触皮膚わった

 厚みのあるこっくりとした質感、素材、丈夫いパイレックス(工業用耐熱ガラスいているからといた。理化学用品がける職人により使わずつくられたガラス本体、江戸切子職人、槌目(つちめ、金属金槌いたような)文様をほどこしている

「質実剛健のパイレックス製品をわざわざったことがない」「切子家庭用ガラスしかれないのではないか」―-―。

SIRI SIRIのデザイナー、岡本菜穂さんの依頼、当初、双方職人はとまどったというでも、彼女のあたまのには理想のかたちと技術への期待があったそうして、従来江戸切子のきらびやかさとはひと味違、静かな存在感まれた

 日本各地には、手仕事によるらしの道具があるその熟練技術伝統、守えながらもつくる道具らしに、変化していくことが大切。そうすることできっと、多くの手仕事自然次世代繋(つな)がっていく。1人のジュエリーデザイナーが技術びつけ、伝統循環させることでまれた切子のバングルはそのまいの、新鮮きをもめている。

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切子のバングル 江戸切子は、江戸時代にはじまったカットガラスの技術。明治時代に入るとヨーロッパの技術も導入され、独自の世界をつくってきた。岡本菜穂さんいわく、もともと切子でジュエリーをつくりたかったわけではなく、あたまの中の表現(デザイン)を実現するための技術を国内で探したところ、たまたま江戸切子にたどり着いたという。切子のバングルは2サイズあり各3万8880円。SIRI SIRIhttp://sirisiri.jp/

 

 

文、セレクト=つるやももこ 撮影=尾嶝 太

 

つるや・ももこ 1975年生まれ。女子美術大学デザイン学科卒。40代を迎えて、生活を改めて俯瞰(ふかん)。好きなもの・こと=自分にとっての宝ものを見直して整理をはじめました。