続・小学生のママに知ってほしいiPad勉強アプリ【第10回】 〜神奈川県立座間養護学校 山田寛子 先生〜
物心ついたときから身近にスマホやタブレットがあり、“デジタルネイティブ”と呼ばれる今の小学生。でもスマホやタブレットですることと言えば、LINEやゲームをしたりYouTubeを見たり……。せっかくなら、もっと有効活用してほしいと思いませんか? 本連載では、教育現場でタブレットを活用した学びに取り組む先生たちの“とっておきアプリ”をご紹介。ゲーム機だった家庭のiPadが、“学びの武器”へと変わります。さりげなくダウンロードして親子でやってみてください!
インターネットやタブレット端末のおかげで、いまや誰もがカンタンに情報や知識を手に入れられる時代。学校の勉強もただ知識を教えるだけでなく、皆で話し合ったり、発表したりする時間が増えてきていますが、知識はもういらなくなったのでしょうか? そんなことはありません。むしろ、授業での話し合いに参加するためには、知識は重要です。今回は、地理の基本知識である日本の“47都道府県”を楽しく暗記できる2つのアプリをご紹介します。
1つ目はこちら。
□ 地図エイリアン~都道府県を記憶せよ~ (無料 ※完全版は360円のアプリ内課金)
身に付く力:都道府県名の知識・関心、暗記力、リズム感
アプリを推薦してくれたのは、神奈川県立座間養護学校の山田寛子先生。同校では2012年度からiPadが配備されていて、2015年度末にはApple TVや電子黒板機能付きのプロジェクターも配備されるなど、ICT機器を活用した授業を展開しています。またビデオ会議システム「Googleハングアウト」を活用するなど、授業外でも積極的にICTを活用しています。
山田先生はこのアプリを自宅でお子さんと一緒に使っているそうです。「日本地図を学校で習う前の子供でも使えるアプリで、うちの子は年長のときから遊んでいました」と山田先生は話します。また、日本の地理にも興味が広がっていき、家族で遠出をしたときには「“ここって何県?」と自分から聞いて来るようになったそうです。
アプリは、遠い星からやって来た見習い地球調査員「マップン」と一緒に日本地図を覚えていく設定。マップンが“ゆるキャラ”のような感じなのも、子供心をくすぐります。
そして一番の特徴は、都道府県をリズムを使って覚えるところ。最初に「おてほん」がリズムに合わせて都道府県名と地図上の位置を示し、「つぎはきみのばん」と言われたらリズムに合わせながら順番通りにタップしていきます。例えば「青森」とおてほんが示すと「青森」の場所をタップする。次に「青森」→「秋田」とお手本が示すので、「青森」→「秋田」とタップする。1つ、2つ、3つ、4つ……とだんだんと都道府県が増えていきます。
いわゆる“音ゲー(音楽に合わせて体を動かすゲーム)”とちがって、タップするタイミングで減点になることはありませんが、身体でリズムをとりながらプレーしていくうちに、自然と県名と位置を覚えていけるゲームです。
マップンと一緒に調査するエリアは全部で6つ。そのうち、「北海道・東北」「関東」の2つのエリアは無料ですが、それ以外のエリアは有料(完全版はアプリ内課金360円)です。“調査”が進むと都道府県ごとのキャラクターカードがもらえるのも楽しみの1つ。青森県の「オモリくん」や千葉県の「ばっつん」など、都道府県の特徴を記したキャラクターカードを集めて、アルバムを充実させていきましょう。
47都道府県をだいたい覚えてしまった子には、2つめのおすすめアプリ「日本地図マスター 楽しく学べる教材シリーズ」を。地域の特産物や名所、地理的な特性などを写真やイラストで学ぶことで各都道府県の知識をより深めることができます。
□日本地図マスター 楽しく学べる教材シリーズ (600円)
「都道府県がパズルのピースになっており、日本地図に当てはめていきます。『パズル』モードで、詳細な場所や面積の差がわかるようになります。また、『たんけん』や『クイズ』モードで都道府県の特色を深く覚えていくことができます。手軽にできるので自分の時代にあれば絶対やりたかった!”と思えるアプリです」(山田先生)
ドラマ化もされた受験漫画「ドラゴン桜」の中でも紹介されていましたが、音楽に合わせて身体を動かしながら覚えると記憶が定着しやすいと言われています。課題として暗記するより、ゲーム感覚で人より早く覚えるほうが、地理を好きになりやすいはず。このアプリなら、ご家庭で「地理好きのタネ」を植えられそうですね。まずはアプリをダウンロードして自分で遊んでみてください。きっと「やりたい!」とお子さんが飛びついてくるはずです。
【紹介者プロフィール】
山田寛子 先生(神奈川県立座間養護学校)
2004年より神奈川県立相模原養護学校に勤務。2012年度からは現在の神奈川県立座間養護学校での勤務となり、2015年度からは情報機器管理を担当している。本校と有馬分教室、相模向陽館分教室の機器管理を任されており、環境安全グループの副部長としては主に私費会計の部分で部長を補佐。夏季休業中には校内の研修会を開き、個別の相談にも応じながら教員のICT指導力向上に努めている。
【筆者プロフィール】
小池幸司 (教育ICTコンサルタント / 学習塾 俊英館)
2011年3月、他の学習塾に先駆けてiPad導入を実現。教育現場におけるICTの導入・活用を推進すべく、講演や執筆活動を通じて自社のiPad導入事例やノウハウを発信。2013年3月にはiPad×教育をテーマにした初の実践的書籍「iPad教育活用 7つの秘訣」をプロデュース。iTeachers発起人。
タブレットや電子黒板といったICT機器をうまく活用することで、学校をはじめとする教育機関でも“新しい学び”が広まりつつあります。iTeachers TVはそんな教育現場のいまをお届けする教育ICT情報番組。先生や生徒、教育関係者をゲストに招き、その実践や取り組みをプレゼンテーション形式でご紹介します。番組は毎週水曜日の夜にYouTubeで配信。ぜひチャンネル登録をしてご覧ください。