小学生のママに知ってほしいiPad勉強アプリ【第8回】 千葉県立袖ヶ浦高等学校 永野 直 先生
「ウチにiPadはあるのだけど、ゲームとYouTubeにしか使ってくれなくて……」そんな悩みはありませんか? せっかく買ったiPad、遊びだけでなく勉強にも使ってほしい!そんなママたちのために、家庭でも使えるイチオシのiPadアプリをご紹介。紹介してくれるのは、学校や塾、専門スクールなど、教育現場でiPadを活用した学びに取り組んでいる9人の先生(iTeachers)たち。お子さんが自分から学ぶ姿が見られるようになるかもしれません。
昔は「読み、書き、そろばん」なんて言い方をしましたが、私たち親世代が小学生の頃、習い事といえばもっぱら「習字」と「そろばん」でした。それから30年、「プログラミング」が習い事の定番の1つになりつつあるのだとか。将来プログラマーを目指すといったことではなく、論理的な思考力や創造力、集中力などが養えるということで、プログラミングスクールに通わせている家庭が増えています。今日はそんな「プログラミング」を学べるアプリのご紹介。「プログラミングなんて難しそうで無理」というお母さんも少なくないと思いますが、小学1年生でも使えるものなので、ちょっとしたパズルだと思って気軽に試してみてください。
□ ピュア・プログラミング - ネズミとチーズと迷路とプログラム (有料 \120※iPadのみ対応。iPhoneは未対応)
このアプリを推薦してくれたのは、千葉県立袖ヶ浦高等学校の永野直先生。高校の教科「情報」の先生です。袖ヶ浦高校の情報コミュニケーション科は日本の県立高校で初めてiPadを1人1台導入しました。
永野先生によると「『ネズミとチーズと迷路とプログラム』はプログラミングの基礎である“繰り返し”や“選択”を使って遊ぶアプリです。物事を順序立てて考える練習をゲーム感覚でできるので、今後もっとクリエイティブなプログラミング言語に進んでいくための、“入り口”としてぴったりのアプリです」とのこと。「情報」の先生がおすすめするプログラミングの入門アプリとはどんなものでしょう。早速やってみましょう。
アプリを起動すると24個の「めいろ」が表示されます。難易度順なので、はじめての人は「めいろ 1」を選びましょう。すると画面左側にネズミとチーズが現れます。このネズミをチーズのところまで連れていってあげる命令文(プログラム)を画面の右側で作っていくゲームです。プログラムと言っても、英語で入力するわけではありません。日本語で書かれた選択肢から選ぶだけなので安心してください。
命令文は「もし(じょうけん)なら{こうどう}する」という形。(じょうけん)と{こうどう}を選んでいけばいいのです。
まず、画面の青字で書かれた「( じょうけん )」をタップ。すると、「まえにすすめる」「まえにすすめない」「みぎにすすめる」などと書かれた7つの文が表示されます。「めいろ 1」は一本道なので、とりあえず「( まえに すすめる )」を選んで「(まえにすすめる)なら」という命令文を作ります。続いて、「{こうどう}」をタップ。すると今度は「まえに1マスすすむ」「みぎをむく」「ひだりをむく」の3つの行動が選べるので、「{ まえに 1マス すすむ }」を選んでみましょう。これで、「もし (まえに すすめる) なら { まえに 1マス すすむ }」という命令文が書けました。
左下の「いけ!」をタップ。すると、命令文に沿ってマウスが動き、チーズにまで到達。「おめでとう!」という言葉と得点が表示され、クリアとなります。命令文は最大で5つまで設定することができます。1つ目の条件にあてはまらなかった場合には2つ目の条件に、2つ目の条件にもあてはまらなかったら3つ目の条件にといった具合に、進んでいきます。ステージの難易度が上がるほどめいろは複雑になり、条件が増えていくわけです。
筆者の小学5年生の娘とやってみたところ、「めいろ 9」までは迷うことなく、すんなりとクリア、「めいろ 10」に入ってから急に頭をかかえ始めました。複雑な命令文を考えなければならず混乱したようです。
このアプリは「小学1年生でも使える」とうたっているだけあって、文字表記はすべてひらがな。しかも、利用者情報の登録や難しい設定、アプリ内課金など一切ないので、安心して子供に使わせることができます。それでいて、後半のめいろはプログラミング経験のある大人でもつい本気になってしまうほど難易度が高レベル。めいろをクリアする際に得点が表示されるので、より得点の高い命令文にチャレンジすることができます。非常に奥の深いアプリなので、プログラミングのことを知りたいお父さんお母さんにもおすすめです。
「これからの時代、英語とプログラミング能力は必須」と言われています。プログラミング教室に通う前に、まずはこんなアプリでプログラミングに触れる機会を作ってあげるといいですよ。
【iTeachersプロフィール】
永野 直 先生
地理の教員としてICTを使った授業を行っていたが、2003年に教科「情報」が新設され、「情報」の担当に。鳴門教育大学大学院への2年間の長期出張後、2010年より袖ヶ浦高校へ赴任、「情報コミュニケーション科」を同校に新設。「10年先の未来型学習の実現」に向け、社会の変化に主体的に対応できる生徒の育成をめざす。Apple Distinguished Educator Class of 2013
【筆者プロフィール】
小池 幸司 (教育ICTコンサルタント / 学習塾 俊英館)
2011年3月、他の学習塾に先駆けてiPad導入を実現。教育現場におけるICTの導入・活用を推進すべく、講演や執筆活動を通じて自社のiPad導入事例やノウハウを発信。2013年3月にはiPad×教育をテーマにした初の実践的書籍「iPad教育活用 7つの秘訣」をプロデュース。iTeachers発起人。
タブレットや電子黒板といったICT機器をうまく活用することで、学校をはじめとする教育機関でも“新しい学び”が広まりつつあります。iTeachers TVはそんな教育現場のいまをお届けする教育ICT情報番組。先生や生徒、教育関係者をゲストに招き、その実践や取り組みをプレゼンテーション形式でご紹介します。番組は毎週水曜日の夜にYouTubeで配信。ぜひチャンネル登録をしてご覧ください。