アニメーション動画を作ろう! マニュアルいらずの「コマ撮り」アプリ

続・小学生のママに知ってほしいiPad勉強アプリ【第6回】 〜 古河市教育委員会 平井聡一郎 先生 〜

iPad1台でアニメーション動画作りが楽しめる「コマ撮り」アプリ
マニュアルいらずのシンプルな画面。小学校低学年でも簡単に楽しめる
「撮って」「動かす」の繰り返し。“透かし”を目安に少しずつ動かすのがコツ
3秒〜10分まで一定の時間で自動撮影してくれる「インターバル撮影」
作成したアニメーションを紙のパラパラ漫画にすることもできる
アプリ紹介者の平井先生(左)と本連載著者の小池氏(右)

物心ついたときから身近にスマホやタブレットがあり、“デジタルネイティブ”と呼ばれる今の小学生。でもスマホやタブレットですることと言えば、LINEやゲームをしたりYouTubeを見たり……。せっかくなら、もっと有効活用してほしいと思いませんか? 本連載では、教育現場でタブレットを活用した学びに取り組む先生たちの“とっておきアプリ”をご紹介。ゲーム機だった家庭のiPadが、“学びの武器”へと変わります。さりげなくダウンロードして親子でやってみてください! 

学校の授業中、教科書の片隅に“パラパラ漫画”を描いた経験ありませんか? 1ページずつちょっとだけ変えた絵を何枚も何枚も描く作業。地味で手間がかかる上に、できあがった作品はほんの一瞬。でも、ふだんテレビで見るだけのアニメーションを自分で創るという体験にワクワクしたのを思い出します。今回は、そんなアニメーションの世界を、誰でも簡単に楽しめる「コマ撮り」アプリのご紹介です。

□ KOMA KOMA for iPad(無料)

身に付く力:創造力、表現力、集中力

このアプリを推薦してくれたのは、古河市教育委員会の平井聡一郎先生。古河市では他の市区町村に先駆けて2015年度から市内の小学校23校にiPadを導入。iPadによるクラウド環境での活用や、ITに詳しい先生を伝道役に選出しICT教育を進める「エバンジェリスト制」を創設するなど古河市は先進的な取り組みで全国から注目を集めています。

平井先生にこのアプリの魅力を聞いたところ、「とにかく操作がシンプルかつ単純で、マニュアルの必要がありません。子どもたちが想像・創造したストーリーがすぐに動画にできます。ぬいぐるみやおもちゃのロボット、LEGOのブロックなどを使って、動画を作ることができるのです。動かないものが動くって面白いですよね。例えば、食卓のテーブル上でおかず同士が決闘する動画が、ものの数分でできてしまいます」とのこと。それでは早速、iPadを使ったアニメーション作りに挑戦してみましょう。

アプリを起動すると、撮影画面が現れます。この枠がこれから作るアニメーション動画の“劇場”になりますので、被写体が収まるように角度を調整しましょう。iPad用のスタンドなどを使って固定するときれいに撮影することができます。

被写体となるキャラクターをカメラの前に置いたら、シャッター(赤丸ボタン)をタップして撮影します。1コマ撮ったらちょっとだけ動かして2コマ目を撮影。そしてまたちょっと動かして撮影……といった具合に、「撮って」「動かして」をひたすら繰り返していきます。2コマ目以降は、前のコマの映像が“透かし表示”されますので、これを目安にちょっとずつ動かしていくのがポイントです。

また、「インターバル撮影」の機能を使うと、シャッターを押さなくても一定時間で自動的に撮影することができます。撮影のインターバルは3秒〜10分まで変更が可能。窓の外にカメラを向けて、10分ごとに雲の動きを撮影するといった理科の観察にも使えそうです。

作品が完成したら、黄色い矢印のボタンをタップして保存しましょう。作品はアプリ内で再生するだけでなく、カメラロールに動画として保存することもできます。テレビにつないで家族みんなで見たり、YouTubeに公開したりすれば、さらなる創作意欲につながるかもしれません。また、ちょっとおもしろいのが「パラパラ漫画をメール」という機能。メールで送られた写真をプリントアウトして、切り取り線でカットすれば、紙のパラパラ漫画として楽しむこともできます。

シンプルなだけに奥が深い「コマ撮り」アニメーションの世界。おもちゃを動かす簡単なものから、ねん土を使った本格的な“クレイアニメ”まで、アイデアと発想しだいで作品の可能性は無限大です。しかも、絵を描いたり、楽器を弾いたりするのとはちがってスキルは必要なし。iPadが1台あれば、すぐにでも始めることができます。親子でつくるアニメーション動画、ぜひ一度チャレンジしてみてください。

【紹介者プロフィール】

平井 聡一郎 先生(古河市教育委員会)

茨城県の公立小中学校教諭、指導主事、中学校教頭、小学校校長を経て現職。小学校校長時代からICT機器活用を通した授業改革に取り組んできた。古河市教育委員会では全国初となるLTEモデルのiPadを全小学校に導入し、小学校でのプログラミング教育、プレゼンテーションに力をいれている。また、中学校では、マルチOS、クラウドプラットフォームの実践にも取り組むなど、次世代の学校環境づくりにも取り組んでいる。

【筆者プロフィール】

小池  幸司 (教育ICTコンサルタント / 学習塾 俊英館)

2011年3月、他の学習塾に先駆けてiPad導入を実現。教育現場におけるICTの導入・活用を推進すべく、講演や執筆活動を通じて自社のiPad導入事例やノウハウを発信。2013年3月にはiPad×教育をテーマにした初の実践的書籍「iPad教育活用 7つの秘訣」をプロデュース。iTeachers発起人。

タブレットや電子黒板といったICT機器をうまく活用することで、学校をはじめとする教育機関でも“新しい学び”が広まりつつあります。iTeachers TVはそんな教育現場のいまをお届けする教育ICT情報番組。先生や生徒、教育関係者をゲストに招き、その実践や取り組みをプレゼンテーション形式でご紹介します。番組は毎週水曜日の夜にYouTubeで配信。ぜひチャンネル登録をしてご覧ください。