続・小学生のママに知ってほしいiPad勉強アプリ【第4回】 ~ 和歌山大学教育学部附属中学校 矢野 充博先生 ~
物心ついたときから身近にスマホやタブレットがあり、“デジタルネイティブ ”と呼ばれる今の小学生。でもスマホやタブレットですること言えば、LINEやゲームをしたりYouTubeを見たり……。せっかくなら、もっと有効活用してほしいと思いませんか? 本連載では、教育現場でタブレットを活用した学びに取り組む先生たちの“とっておきアプリ”をご紹介。ゲーム機だった家庭のiPadが、“学びの武器”へと変わります。さりげなくダウンロードして親子でやってみてください!
「どうしてお腹が減るの?」「なんでケガをしたら血が出るの?」。人の体はもっとも身近なものでありながら、その仕組みはわからないことだらけ。そんな疑問は、子供たちにとって学ぶ楽しさを知る大きなチャンスです。子供の素朴な「なぜ?」を親子で一緒に解決できたら素敵ですよね。今回は、人体の不思議を遊びながら学ぶことができる、“現代の人体模型”とも言うべきアプリのご紹介です。
□The Human Body 〜 あそんでまなぼう(有料/¥500)
身に付く力:人体の知識、好奇心、探究心
このアプリを推薦してくれたのは、和歌山大学教育学部附属中学校の矢野充博先生。同校では学校中どこでもWi-Fiがつながる環境が整備されており、すべての教室にプロジェクターやApple TVを常設。2016年度からは学校全体で108台のiPadが配備され、授業はもちろん、クラブ活動や学校行事でも活用されているそうです。
矢野先生にこのアプリの魅力を聞いたところ「大人も子供も遊びながら、体について学べます。人の体が外からの刺激に対してどんな反応をするかを、アニメーションで学べるアプリです。しかけを動かすことで、筋肉や神経、内蔵、血管などが働き出しとてもユニークです」とのこと。長年、理科の授業でICTを活用してきた先生がおすすめするアプリをさっそく見ていきましょう。
アプリを起動したら、男女それぞれ2パターンのアバターから好きなものを選択。アバターに名前をつけましょう。ネットに公開するものではないので、わが子の名前をつけてもいいですね。
このアプリでは、「神経系」「骨格系」「呼吸系」「循環系」「消化系」「筋肉系」「免疫系」の7つの人体のシステムを学べます。歯車マークの下に並んでいる人体のアイコンをタップすることで、表示を切り替えができ、アニメーションや音声はもちろん、さまざまなしかけが用意されています。
例えば「神経系」では、右側に表示された蚊のアイコンをドラッグすることで、「ブーン」という音を立てて蚊が飛び立ちます。飛び立った蚊が人体を刺すと、その「かゆい!」というシグナルが刺されたところから神経を伝わって脳へと運ばれる様子をアニメーションで確認できます。羽を使って体をくすぐってみたり、花束を鼻に近づけて匂いを嗅がせてみたり、手を動かしながらその反応を見たり聞いたりできるのがこのアプリの特徴です。
「消化系」では、食道や胃、小腸、大腸などの消化器系の臓器がどこにあるかがわかり、口から入った食べ物が食道を通って胃で消化されていく様子を確認できます。「免疫系」では体の中の免疫システムがどのようにウイルスや細菌から守られるのかを見ることができます。
そのほか、胃の動きや心臓の動きなど臓器の動きだけに注目してみることもできるなど、低学年の子が楽しめる易しいものから、小学校高学年や大人が楽しめる難しいものまで、たくさんのしかけが用意されています。アプリの説明書が見たいという方は、ダッシュボード内の「ユーザーガイド」または下記URLにあるハンドブックでチェックしてみてください。
・人体ハンドブック:日本語版(PDF)
このアプリには、質問を吹き込むための録音機能も搭載されています。なかなか対話の時間がとれないという場合には、アプリを介して子供の「なんで?」「どうして?」を一緒に考えていくのもいいかもしれませんね。「人体ハンドブック」には、アプリの使い方だけでなく、人体の不思議をもっと楽しむための対話のヒントが掲載されています。ぜひ親子で“人体の不思議トーク”に花を咲かせてみてはいかがでしょうか。
【紹介者プロフィール】
矢野 充博 先生(和歌山大学教育学部附属中学校)
和歌山大学大学院修了。2006年より11年間和歌山大学教育学部附属中学校にて、電子黒板やiPad、iPod touchなどのICT機器を活用しながら理科の授業を行う。iPad導入に向けての整備や教員向けのICT活用セミナーを開くなど活躍中。また、各地でサイエンスショーへの参加や青少年の科学の祭典・和歌山大会にも長年参加している。Apple Distinguished Educator 2015。
【筆者プロフィール】
小池 幸司 (教育ICTコンサルタント / 学習塾 俊英館)
2011年3月、他の学習塾に先駆けてiPad導入を実現。教育現場におけるICTの導入・活用を推進すべく、講演や執筆活動を通じて自社のiPad導入事例やノウハウを発信。2013年3月にはiPad×教育をテーマにした初の実践的書籍「iPad教育活用 7つの秘訣」をプロデュース。iTeachers発起人。
タブレットや電子黒板といったICT機器をうまく活用することで、学校をはじめとする教育機関でも“新しい学び”が広まりつつあります。iTeachers TVはそんな教育現場のいまをお届けする教育ICT情報番組。先生や生徒、教育関係者をゲストに招き、その実践や取り組みをプレゼンテーション形式でご紹介します。番組は毎週水曜日の夜にYouTubeで配信。ぜひチャンネル登録をしてご覧ください。