札幌市中央区より豊かな村はどうやってできたのか
子供を育てる環境はすごく大事。でも、町を少し歩いただけでは、どこが教育環境の良い町か分からないですよね。そこで今回のプレジデントファミリーには『日本のすべての町、「子育て力」グランプリ』という記事を掲載。日本の市区町村1896の「大学・大学院卒業者比率」、「平均所得額」などから全国の自治体の子育てしやすさを数値化しています。
取材に際して驚いたのが、「北海道宗谷郡猿払村」。
なんと就業者平均所得が全国9位!(平成26年賃金構造調査などから日本統計センターが推計)「吉祥寺」のある東京都武蔵野市、御用邸があり保養所として名高い神奈川県葉山町、長野県軽井沢町、東京都新宿区などを抑えてのランクインです。北海道の北部、オホーツク海に面した村が9位なんて。大変失礼ながら、“データの間違い”ではないかと思い猿払村役場に問い合わせたところ、広報担当者から“高収入の秘密”を教えていただきました。
「猿払村は人口2700人ほどの小さな村で、主な産業は漁業と酪農です。1次産業はもともと収入の変動が大きいのですが、データの平成26年(2014年)はホタテが豊漁だったことと、ホタテ製品価格が上昇したことが寄与しました。漁協組合員数は254名で、ホタテ・毛がに・サケ・マスなどを含めた水揚げ額が109億円。ホタテなどの水産加工場もあるため、海の恵みは漁業関係者以外にも及びます」
しかし、これまでの道のりは決して、順風満帆ではなかったと広報担当者。
「昔は“貧乏見たけりゃ猿払行きな”と言われるほど貧しい村だったんですよ。1965年頃には主要な炭鉱が閉山し、ホタテも乱獲で資源が枯渇してしまいました」
漁協従事者が100人を切った1971年には、自らの収入の一部を積み立て、村や関係機関の協力・支援も受けてホタテ稚貝放流事業を実施。放流事業に対する疑問の声や、積み立ての苦労を乗り越えて、ホタテ増殖事業が軌道に乗って資源管理に成功したことが現在に繋がっているとのこと。毎年漁業区域をローテーションすることで、取り尽くしを防いでいるそう。
聞いているこちらも電話口で感動してしまいました。取材をしていると、ときおりこうした思わぬエピソードに出くわします。もちろん、本誌春号にはこぼれ話以上の内容が盛だくさん。
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