小学生のママに知ってほしいiPad勉強アプリ【第9回】 広尾学園中学校・高等学校 金子 暁 先生
「ウチにiPadはあるのだけど、ゲームとYouTubeにしか使ってくれなくて……」そんな悩みはありませんか? せっかく買ったiPad、遊びだけでなく勉強にも使ってほしい!そんなママたちのために、家庭でも使えるイチオシのiPadアプリをご紹介。紹介してくれるのは、学校や塾、専門スクールなど、教育現場でiPadを活用した学びに取り組んでいる9人の先生(iTeachers)たち。お子さんが自分から学ぶ姿が見られるようになるかもしれません。
子供を膝の上に乗せ、ソファーで絵本の読み聞かせをして過ごしたあの時間……お子さんとのそんな交流、減ってきてはいませんか。幼い頃は何度も同じ本を持ってきては「読んで、読んで」とせっついてきた子も、学年が上がるにつれて、だんだんと絵本に興味を示さなくなってくるもの。親としてはちょっとさびしい気もしますよね。今回おすすめするのは、そんな小学校高学年の子でも興味をもってもらえる絵本アプリ。世界にたった1つのオリジナル絵本が作れるアプリをご紹介します。
□ピッケのつくるえほん for iPad (有料 ¥600 ※iPadのみ対応。iPhoneは未対応)
「ピッケのつくるえほん」を推薦してくれたのは、東京の私立広尾学園中学校・高等学校の金子暁先生。広尾学園では2012年に他校にさきがけて1人1台のiPadを導入。すべての学年で生徒が自分のデジタル端末をもってスクールライフを送っている全国でも有数のICT先進校です。
金子先生がこのアプリを知ったのは3年前、作者の朝倉さんと出会ったことだ。「子供達にとって『良質な体験』の積み重ねこそが重要。だからこのピッケをつくった」というアプリに込められた思いを知り、興味を持った。「将来、大きな困難に直面したときに、自分の支えとなるのは幼い頃からの良質な経験の積み重ねなんです。自分で作った物語を形にして親子で共有するというこのアプリは、親子のいい時間を紡げると思ったのです」と金子先生は言う。
このアプリは初心者でも絵本を作りやすい仕掛けが満載。「コブタのピッケや仲間たちを主人公に、家や公園、木々や植物などシンプルな素材を画面上に指で移動して、さまざまなストーリーを創作できるのです。小学生なら想像力のおもむくままに遊べば、自分だけの絵本作りができますよ」。面倒という理由で、いつの間にか自分自身で何かを作り上げることから遠ざかってしまったお父さんお母さんにもお薦めです。
オリジナル絵本作りを簡単に解説してみましょう。
アプリを起動すると本棚が表示され、サンプルの絵本が1冊並んでいます。サンプルをもとにアレンジ作品を作ることもできますが、オリジナルの作品を作るには左上の「+あたらしいえほん」をタップします。
まだ何も描かれていないページが表示されたら、右上の「ピッケ」(コブタ)のアイコンをタップしてみてください。すると、ピッケとその仲間たちが現われます。使いたいキャラクターを決まったら、指でドラッグしてページの好きな位置まで配置。大きさや傾きを変えたり、キャラクターの表情を選択したり、カスタマイズしていきます。アイテムを加えたり、背景を選ぶこともできます。
続いて、本文やセリフを入力していきます。吹き出しのパターンが表示されますので、好きな位置にドラッグして大きさや色を調整。鉛筆マークをタップするとテキスト入力の画面に切り替わるのでキーボードで文字を入力します。こうしてページができあがったら、忘れずに右下の「ほぞん」ボタンを押しましょう。せっかくの作品が消えてしまったら大変ですので、こまめに保存しておくことをお忘れなく。
こうしてページ作りをすすめて、最後に表紙と背表紙を作ればオリジナル絵本の完成です。作者名に自分の名前を入れられるのもうれしいポイントです。できあがった作品は、テレビとつないで大きな画面で見ることができます。メールで送る機能もあるので、離れて住むおじいちゃん、おばあちゃんにプレゼントしてもいいでしょう。そしてさらに、このアプリのとっておきの機能が印刷機能。プリントアウトした展開図を切りとって、指示通りに折り、ホッチキスで綴じるだけで、ミニ絵本が簡単に作れてしまいます。親子で一緒に作った物語が1冊の紙の絵本として手にとれる。これは感動してしまいますよ。
「ピッケのつくるえほん」は各地でワークショップも行われるほど定評のあるアプリで、作文指導など、国語の授業に取り入れている先生もいます。親子でコミュニケーションをとりながら、子供の想像力を育くめるアプリ。ぜひ週末、お子さんと一緒に“絵本づくりワークショップ”を開催してみてはいかがでしょうか。
【iTeachersプロフィール】
金子 暁 先生
私立広尾学園教務開発統括部長。2007年の共学化、進学校化に合わせた学校改革と広報戦略を担当。2009年からは新しい教育プログラムのキャリア教育責任者を兼任。2011年からはデジタル・ネイティブ世代のための環境づくりを目指してICT 教育責任者を兼任。学校改革と組み合わせた広報戦略やキャリア教育、ICT教育の推進に関する提言を行う。Apple Distinguished Educator Class of 2013
【筆者プロフィール】
小池 幸司 (教育ICTコンサルタント / 学習塾 俊英館)
2011年3月、他の学習塾に先駆けてiPad導入を実現。教育現場におけるICTの導入・活用を推進すべく、講演や執筆活動を通じて自社のiPad導入事例やノウハウを発信。2013年3月にはiPad×教育をテーマにした初の実践的書籍「iPad教育活用 7つの秘訣」をプロデュース。iTeachers発起人。
タブレットや電子黒板といったICT機器をうまく活用することで、学校をはじめとする教育機関でも“新しい学び”が広まりつつあります。iTeachers TVはそんな教育現場のいまをお届けする教育ICT情報番組。先生や生徒、教育関係者をゲストに招き、その実践や取り組みをプレゼンテーション形式でご紹介します。番組は毎週水曜日の夜にYouTubeで配信。ぜひチャンネル登録をしてご覧ください。