『田舎のキャバクラ店長が息子を東大に入れた。』刊行記念、伝説の記事を復活!
それは、編集部にかかってきた1本の電話から始まりました――。
両親は夜のお店勤め、塾にも行かず東大に合格した子がいるというのです。
1人の高校生とその父親、高校教師と、3人が一丸となって東大をめざし、合格を勝ち取った物語は、プレジデントファミリー2013年9月号に「男3人でもぎとった東大現役合格」として記事になりました。そして、この記事がきっかけとなり、一冊の本が誕生しました。
『田舎のキャバクラ店長が息子を東大に入れた。 たった一つの子育てポリシー』。著者は父親の碇策行さんです。
発売を記念して、当時の記事を公開します。東大に合格した直後、父親から息子へ、息子から父親へ、高校教師から父親へ、それぞれの思いを込めた3通の手紙の形式になっています。
第二回目は、父から息子への手紙。
父さんへ
父さんに対して、率直に思うことは、とにかく「変人だなぁ」ということです。普通の親は、息子の通う学校の現状を打開しようと、学校に赴いて先生たちと話をしようなどとはしません。学校のさまざまなイベントに足しげく参加して、行動力があるなとびっくりします。
変人といっても、別にばかにしているわけではありません。むしろ一人の人間として、尊敬しています。いろいろな知識を持っていて、知らないことを教えてくれたり、日曜日には料理を作ってくれたりと、父さんは本当に尊敬できる人であり、こんな父親はほかにはいないだろうと思っています。そういう意味で、父さんは究極の変人です。そんな父さんに俺は心から感謝しています。ときには厳しく叱って正しい道へと導いてくれました。父さんがいてくれてよかったなぁと思います。
ところで父さんは飲み屋の店長として働いていて、つまりは、夜の仕事をしているわけですが、俺はそれに対して悪い感情を持ったことは一度もありません。世間の人は夜の仕事に対して何か悪い印象を持っているのかもしれませんが、俺はほかの仕事と何も変わらないと思います。俺が中学生、高校生になったとき、俺が家に帰ると、父さんと母さんはすぐ仕事に向かうという生活になりました。
平日は、「いってらっしゃい」とか、「おはよう」とか、あいさつ以外の会話はあまりなかったけれど、休日は一緒にご飯を食べて、テレビを見て、会話も弾み、ときには映画やステージショーなどのいろいろな場所に連れていってくれました。たぶんうちの家族ほど仲の良い家族はそうそういないと思います。
父さんが夜の仕事をしていたために、家族全員が集まることのできる休日を大事にしようという雰囲気が家族全体に広まっていたのかもしれません。そう考えれば夜の仕事も悪くないのかなと思います。
父さんのように、夜に仕事をして昼もアクティブに活動するなんて俺にはまねできません(笑)。そんな父さんに18年間育てられ、今では大学に通わせてもらっています。日本で最高の教育機関に身を置き、刺激的な毎日を送っていますが、そんな毎日の中で将来のことも考えています。
将来どんな職業に就くのか、どんなことをやりたいかということもそうですが、もし自分が人の親になったらということもぼんやりと考えはじめています。
俺もゆくゆくは結婚して子供ができるかもしれない、そうしたら俺はどんなふうに子供を育てていくのか、と。それに対して俺の中で明確な答えが二つあります。
一つ目は、子供の意思を最大限に尊重しようということ。子供の人生は親のものではなく子供自身のものなのだから、結局は子供自身が人生に関して決断し、選択するべきなのだと思います。それに対して親ができることは親の考えや価値観を押し付けることではなく、子供の意見を尊重し、見守り、協力することなのだと思います(もちろん人に迷惑をかける行為などはやめさせる必要があるのですが)。
二つ目は自分自身が子供の見本になるような人間になること。例えば、人に迷惑をかけてはいけないと子供に言い聞かせても、自分が人に迷惑をかけていては説得力がないし、子供も従おうとはしないでしょう。まずは自分が見本となり子供に背中で語るということが一番大事なのではないかと思っています。
今挙げた二つのことを、きっと父さんは実行しているんだと思います。少なくとも俺にはそんなふうに感じられました。俺の選択を尊重し、背中で語ってくれた父さんに感謝しているからこそ、俺自身もそれを自分の子供にしてあげたいと思います。
最後に、18年間育ててくれてありがとうございました。俺は大学で、そしてその先も成長していきたいと思います。父さんは、これからもさまざまなことにチャレンジし、アクティブに活動し続けてください。
くれぐれも体には気をつけて。
碇 誠悟
『田舎のキャバクラ店長が息子を東大に入れた。』
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