日本人にとって、身近な自然である里山の谷戸。初冬の木漏れ日が光芒をつくり、まるで紅葉や小道を散歩する犬にスポットライトが当たっているよう。毛並みからは日差しの温もりさえ感じられます。人間が関わることで豊かな自然環境が維持されている。何気ない一枚の中に、そんな里山での一瞬の幸福な出来事が切り取られています。
神奈川県横浜市の北西部に位置する寺家町。なかでも撮影地の寺家ふるさと村は、樹木に囲まれ、谷戸には水田があり、四季を通じて自然の営みがなされています。見事な紅葉の季節に差し込む光芒はまるでスポットライトのようで、立ち上がった犬は役者のように輝いて見えます。被写体にとっては何気ない日常のワンシーンだと思いますが、作品には幸福感がみなぎっています。鑑賞者にこういった環境の大事さを伝え、また癒やしを与える素晴らしい作品です。