今年から始まった大学生部門。非常に元気のある作品がたくさん集まりました。私が選んだのは、カメラ技術、性能、合成技術などよりも、撮っている人の意図、その写真で何を伝えたいのかが、余計な説明などなしに一枚できちんと伝わってくる作品でした。写真にそのような思いを込められることが、これからのデジタル社会における人間の存在意義にも深く関わってくると信じます。
そんな大学生部門の初代グランプリとなったのが「車窓」です。今回、海を題材にした作品が半数近くを占めていましたが、バスの車内から窓越しに海を写し取ったこの作品は異彩を放っていました。惜しくも佳作となった「未来をともに歩む」は私たちが自然とともに歩く未来を示唆しているように感じ、同じく佳作の「明日を生きる」は体に活力がみなぎっていた学生時代を思い出させてくれました。
鈍く沈んだブルーの海と空の色が全体に広がるなかに、コロナ禍の空気感が写し取られているように感じました。佳作の「未来をともに歩む」からは地域のつながりが、「明日を生きる」からは閉塞感を打ち破りたいというメッセージが伝わってきました。