春の早朝、山深くにある村落の祠にお参りをする人の姿があります。長きにわたって村落の人々の営みを見守り続けてきたであろう祠。その後ろには、見事な花を咲かせた桜の木が──。緑の山々、桜、赤い祠や鳥居を、祈りを捧げる人物をポイントに切り取った本作品は、日本の原風景ともいえるワンシーンを、情感を持って描き出しました。桜はその花の美しさを愛でるだけでなく、農作業の時期を測る目安としても利用されるなど、日本人の生活と深い関係を持っています。そんな桜と人とのかかわりも描きながら「自然との調和」というテーマを見事に表現し、審査員全員から高い評価を得ました。