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越後麻布の産地のひとつ、小千谷でつくられる「小千谷縮」。緯糸に強い撚りをかけて麻布を織り上げてから、ぬるま湯でもみ洗いし、生地を縮ませる。こうした技法で独特のシボが生まれ、麻らしいシャリッとした感触が高まり、きめ細やか、かつ軽やかな着心地になる。
咲き誇る花にも打ち上げ花火にも見える華やかな柄は、高島屋「秋の百選会」のために60年以上前にデザインされた訪問着「伯爵夫人」の図案をモチーフに、現代風にアレンジして京都で染めあげた。昭和レトロを思わせる柄行き、手描きさながらの繊細なタッチ、黄色、オレンジ、ネイビー、グレーの濃淡といった5色の色使いが、ゆかたなのに着物のような深みを持たせ、袖を通すだけで優雅な気分に浸れる。
「絽」とは、からみ織りという技法で織られる盛夏を代表する絹織物のこと。これを木綿に応用させた生地が綿絽だ。
絽を織る際に「絽目」という小さなすき間があくが、このすき間を横方向にランダムにあけたものを「乱絽」という。絽目をするりと風が吹き抜けるため通気性がよく、ほどよい透け感はまわりの人にも清涼感を味わってもらえる。
一見、白百合の柄が大胆に感じられるけれど、ゆかたのベースカラーが淡いミントグリーンだから派手さや重たさとは無縁。夏の日差しにはこのグリーンが、夜空の下では白い花びらがよく映えそう。おしべの先端の色と帯の色をリンクさせ、シックで落ち着きのある大人のコーディネートに。
葛飾区 山本亭
東京都葛飾区柴又7-19-32
TEL 03-3657-8577
●大正末期から昭和初期に増改築された、山本栄之助翁の自宅。米国の日本庭園専門誌の3位にランクインした庭園を眺めながら、和洋折衷の建物ではのんびりとお茶や甘味も楽しめる。
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